「僕たちにも、野球はできる!」 東京オリンピック(1964年)開催の翌年、沖縄で風疹が流行し、妊婦の25~30%が罹患したと推定された。妊娠初期4か月間に感染した妊婦は2000~2400人と考えられ、先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome; CR…続きを読む
皆さんは、Staphylococcus lugdunensis(S. lugdunensis)という菌名を聞いたことがありますか? 自分はこの「ラグド」もしくは「ルグドゥ」と聞いたときに、どこかのRPGなどに出てきそうな名前だなと思いましたが、ブドウ球菌だけれど黄色ブドウ球菌(S…続きを読む
慢性腎不全の患者(68歳、女性)で、入院中に採取された血液培養から図に示すような菌が検出された。以下の文章を読んで、このグラム染色から疑わしい菌名を選択肢から選べ。 症例:68歳、女性主訴:発熱 既往歴:慢性腎不全のために6年前から血液透析中で、糖尿病、心房細動を指摘されている。…続きを読む
抗菌薬選択の適正性を判断することの難しさ 2016年に日本における薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが策定されたことで、医療者の薬剤耐性に対する意識はだいぶ変わってきたように思う。一般市民への啓発はまだまだこれからの面もあるが、少しずつ浸透してきていることも実感される。とある…続きを読む
今、経口抗菌薬を見直す意味 セファゾリンの供給停止問題は、一時的とはされているものの、日本の感染症診療に大きな影響を及ぼしています。この問題は、1種類の薬剤だけにとどまらず、他の静注抗菌薬の供給不安をも引き起こす事態になっています。 感染症診療における治療期間は、すべ…続きを読む
はじめに フルオロキノロン系抗菌薬は、非常に便利な抗菌薬です。最もよく使用されているレボフロキサシンは、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラなどの市中肺炎の原因微生物のほとんどをカバーします。また、大腸菌などの腸内細菌科細菌にも効果がある…続きを読む
Kansen Journal、通称KJをご愛読の皆さん、こんにちは。感染症危機管理と聞いて、皆さんはどういうことを想像されるだろうか。具体的なイメージがわきにくいと思われた方もいるのではないだろうか。そうした方たちが、本稿を通してより具体的なイメージを持ち、感染症危機管理を身近に…続きを読む
Medical Education in Infectious Diseases 読者の皆さんの施設で、医学生や研修医の感染症教育に関わることがある先生方はどれくらいいらっしゃるだろうか。 おそらく程度の差はあれ、多くの先生方が臨床推論や身体所見、抗菌薬の使い方やマネ…続きを読む
はじめに:感染症専門医を悩ませる質問とは 感染症診療の原則は患者背景と臓器、そして微生物であり、この3つが決まれば抗菌薬は決定できる。学会発表や症例検討会では、まれな症候群や微生物の感染症の診断が付いて治療が開始されるところで話が終わることが多いが、臨床では抗菌薬を開始するところ…続きを読む