成人の軽症・中等症COVID-19に対する薬物治療
COVID-19(Coronavirus Disease 2019)流行当初の2020年、軽症例に対する重症化予防効果を十分に示す薬剤は存在せず、発症早期は対症療法で経過観察するしかなかった。世界的には、2020年終盤から発症早期に投与することで重症化予防効果(入院予防効果)が期待できる薬剤が登場し始めた。
本邦では、欧米諸国からやや遅れて、第5波が始まりつつあった2021年7月19日にカシリビマブ/イムデビマブ(ロナプリーブ®)が特例承認された。この薬剤の登場によって、早期診断・早期治療の重要性がさらに高まり、COVID-19診療が大きく変わった。その後、ソトロビマブ(ゼビュディ®)、モルヌピラビル(ラゲブリオ®)、ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド®パック)、レムデシビル(ベクルリー®)の早期投与による入院予防効果が示され、それぞれ特例承認された(レムデシビルは保険適用となった)。
本稿では、2022年4月中旬までに出版された文献・ガイドラインをもとに、世人COVID-19患者に対するこれらの薬剤について解説する。
1. COVID-19の重症度分類
COVID-19の重症度は、日本と海外で分類が若干異なっているので、ここで整理しておく(表1)。本稿の「中等症」は、日本の「中等症I」、米国の「中等症」を指す。
表1:COVID-19の重症度分類
国・機関 | 重症度とその条件 | |||
日本(1) |
軽症 ・SpO2≧96% ・肺炎像なし |
中等症I ・SpO2 93-96% ・肺炎像あり |
中等症II ・SpO2≦93% ・酸素投与必要 |
重症 ・ICU入室 ・人工呼吸器管理 |
米国(2) |
軽症(mild) ・呼吸困難なし ・肺炎像なし |
中等症 (moderate) ・SpO2≧94% ・肺炎像あり |
重症 (severe) ・SpO2<94% ・呼吸数>30回/分 ・肺陰影>50% |
最重症 (critical) ・人工呼吸器管理 ・septic shock ・多臓器不全 |
WHO(3) |
非重症 (non-severe) ・severe/criticalではない |
重症 (severe) ・SpO2<90% ・呼吸数>30/分 |
最重症 (critical) ・ARDS ・septic shock ・人工呼吸器使用 ・NIV使用 ・血管収縮薬使用 |
ARDS:Acute Respiratory Distress Syndrome:急性呼吸窮迫症候群、NIV:noninvasive ventilation:非侵襲的換気
(文献[1-3]を参考に筆者作成)
2. 早期診断が重要な理由
COVID-19は、発症早期に検査(抗原検査または核酸増幅検査)を行い、早期診断することが重要である。発症早期に検査を行ったほうが、PCR検査の感度が高いことも理由の1つであるが[4]、早期診断することの意義は、大きく2つ挙げられる。1つは、本稿で解説する抗ウイルス作用のある薬剤(抗ウイルス薬・抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体)は、発症早期(発症から5-7日以内)に投与する必要があるためである。詳細は後述するが、これらの薬剤は、重症化リスクの高いCOVID-19患者に発症早期に投与することによって、その後の入院リスクを大幅に減少させることが示されている。もう1つは、早期診断することによって、早期に感染対策(隔離、徹底した手指衛生、マスク着用、環境消毒など)が可能となり、家庭内や職場での感染伝播を最小限に抑えることにつながるためである[5, 6]。
3. COVID-19の主病態と治療薬の選択
COVID-19の主病態は、発症からの時期によって大きく異なることが知られている[7-9]。発症早期(発症から1週間程度まで)の主病態は「ウイルス増殖」である。発熱・気道症状を示すが、通常呼吸不全は呈さない。そのため、この時点では、「軽症~中等症」と判断されることが多い。多くの患者は重症化せずに1週間程度で自然治癒するが、一部の患者は、発症7日前後以降から「宿主免疫による炎症反応」によって両側肺炎・呼吸不全の状態となる。したがって、発症早期は抗ウイルス作用のある薬剤を、発症7日前後以降の重症化(両側肺炎・呼吸不全)した病態に対しては抗炎症作用のある薬剤を投与することが理にかなっており、実際に多くの臨床試験で、その治療戦略が正しいことが示されてきた[10, 11]。
なお、流行当初は10-20%程度の患者が重症化(呼吸不全あり)していたが[12]、COVID-19ワクチンの3回目接種が進み、重症化リスクがそれほど高くないオミクロンが流行、かつ、検査アクセスが良好で軽症例も多く診断されるようになった第6波では、重症化して入院が必要になる患者は、診断された全患者の数%未満である。
4. 軽症・中等症COVID-19に対する薬物治療の適応と各薬剤の推奨度
軽症・中等症COVID-19に対する重症化予防効果(入院予防効果)が示された薬剤は5剤ある(表2)。ただし、これらの薬剤の効果を示した臨床試験は、「重症化リスクのある」COVID-19ワクチン「未」接種患者のみを対象としている。また、2022年4月17日までに文献化された臨床試験は、すべてオミクロン流行「前」のものである。そのため、「オミクロン流行期のCOVID-19ワクチン接種済みCOVID-19患者」に対する真の効果はわからない。そのことを念頭に、各患者の重症化リスクなどを検討したうえで、薬剤治療の適応を考え、さらに、5つの治療薬の中から1つを選択する。その際、以下の9点を検討するとよい:(1)年齢、(2)重症化リスク因子の数、(3)免疫不全の有無、(4)臨床試験で示された治療効果、(5)発症からの日数、(6)静脈注射が可能な医療環境かどうか(COVID-19患者の点滴を行う外来スペースがある、または、入院ベッドが空いている)、(7)服用中の薬剤との薬物相互作用、(8)流行している変異体(variant)、(9)薬剤の需要と供給のバランス(流通制限の有無)。
表2:軽症・中等症COVID-19に対する重症化予防効果(入院予防効果)が示された薬剤
薬剤 | 効果 (入院+死亡↓) |
投与方法 | 補足 |
ニルマトレルビル/ リトナビル | 88% (0.8% vs 6.3%) | 内服5日間 | ・発症5日以内、薬物相互作用に注意 ・成人、または、12歳以上かつ40kg以上 |
レムデシビル | 87% (0.7% vs 5.3%) | 点滴3日間 | ・通常入院が必要、発症7日以内 ・成人、または、12歳以上かつ40kg以上 ・一般流通している(薬価収載済み) |
モルヌピラビル | 30% (6.8% vs 9.7%) | 内服5日間 | ・発症5日以内、18歳以上 ・妊婦禁忌 ・服用中と服用後4日間の避妊と授乳中止 |
ソトロビマブ | 85% (1% vs 7%) | 30分点滴 | ・外来で投与可能、発症7日以内 ・成人、または、12歳以上かつ40kg以上 |
カシリビマブ/ イムデビマブ | 70.4% (1.0% vs 3.2%) | 30分点滴 | ・外来で投与可能、発症7日以内 ・成人、または、12歳以上かつ40kg以上 |
1)オミクロン流行による抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体の位置づけの変化
デルタ流行期は、比較的流通量の多かったカシリビマブ/イムデビマブが第1選択薬であったが、オミクロン(BA.1)に対する中和活性が著明に低下していることが判明したため[13, 14]、オミクロン流行期(第6波以降)にはその投与は推奨されなくなった。ソトロビマブは、オミクロン(BA.1)への中和活性が保たれていたため、オミクロン(BA.1)が流行した第6波では、第1選択薬となった。しかし、2022年2月にデンマークや英国で流行し、3月中旬以降に日本で増加傾向、4月には主流となったBA.2に対する中和活性の低下が示されたため[15]、第6波の途中(2022年4月に入って)からその投与は推奨されなくなった。
2)NIHのCOVID-19治療ガイドライン
米国のNIH(National Institutes of Health)は、入院していない軽症・中等症のCOVID-19患者に対する治療薬を、以下のように推奨している[16]。なお、これらの薬剤の適応は、重症化リスク因子がある患者に限定されている。
(1) 治療薬の選択
第1選択薬は、ニルマトレルビル/リトナビルである(推奨度:AIIa)。ただし、発症5日以内に投与開始する必要がある。成人、または、12歳以上かつ40kg以上、のCOVID-19患者が対象となる。第2選択薬は、レムデシビル(推奨度:BIIa)で、発症7日以内に開始する必要があり、成人、または、12歳以上かつ40kg以上、のCOVID-19患者が対象となる。これら2剤が、なんらかの理由で使用できない場合(服用中の薬剤との薬物相互作用でニルマトレルビル/リトナビルが使用不可、かつ、レムデシビルを点滴静注できる医療環境がない、など)は、これらの薬剤よりも臨床試験で入院予防効果が低かったモルヌピラビル(推奨度:CIIa)の使用が検討される。18歳以上のCOVID-19患者を対象として、発症5日以内に開始する必要があり、妊婦には禁忌である。2022年4月時点で米国ではオミクロン(BA.2)が主要な流行株となっているため、イムデビマブ/カシリビマブとソトロビマブは使用しないことが推奨されている。
(2) 治療対象とする患者の優先順位
NIHのガイドラインでは、軽症・中等症COVID-19患者は、重症化リスク因子があれば全例治療対象とされており、ワクチン接種の有無は加味されていない。そのため、重症化リスクが実際には非常に低いと想定される患者も治療対象とみなされる(例:COVID-19ワクチン3回接種済みの35歳の糖尿病の既往のある男性)。
ただし、治療薬の需要が供給量を上回るような急激にCOVID-19患者が増加する感染拡大期は、年齢・ワクチン接種の有無・免疫不全の有無・重症化リスク因子をもとに、治療対象とする患者の優先順位をつけることを推奨している(表3)。
表3 治療薬投与の優先度が高い患者群(NIH)
優先度 | 患者群 |
1 | 免疫不全者(ワクチン接種の有無は関係なし) 75歳以上のワクチン未接種者 65歳以上で重症化リスク因子のあるワクチン未接種者 |
2 | 65歳以上のワクチン未接種者 65歳未満で重症化リスク因子のあるワクチン未接種者 |
3 | 75歳以上のワクチン接種者 65歳以上で重症化リスク因子のあるワクチン接種者 ※booster未接種は、booster接種者より重症化リスクが高い |
4 | 65歳以上のワクチン接種者 65歳未満で重症化リスク因子あるワクチン接種者 ※booster未接種は、booster接種者より重症化リスクが高い |
3)カナダオンタリオ州の診療ガイドライン[17]
本ガイドラインは、年齢・ワクチン接種回数・重症化リスク因子の数・免疫不全の有無・妊娠の有無から、その後の入院リスク(重症化リスク)を評価したうえで、治療適応の判断を行うことを推奨している。入院リスクが5%以上となる場合、「高リスク」と判断し、ニルマトレルビル/リトナビルまたはレムデシビルのいずれかを、需要と供給のバランス・禁忌の有無・静注可能な医療環境かどうか、などを加味して選択し、投与する。入院リスクが5%未満となる場合、「標準リスク」と判断し、対症療法で経過観察することを推奨している。発症7日以内の場合、フルボキサミン内服またはブデソニド吸入を考慮してもよいと記載されているが、日本では保険適用がないことに注意が必要である。
4)神戸市立医療センター中央市民病院の院内治療指針(2022年5月2日現在)
当院では、これまでに結果が発表された臨床試験の結果やNIH・カナダオンタリオ州の治療ガイドラインなどを参考に、重症化リスクの高い患者を対象として、ニルマトレルビル/リトナビル(第1選択薬)またはレムデシビル(第2選択薬)を投与している。前者は外来治療、後者は3泊4日程度の入院治療となる。これら2剤が使用できない場合は、第3選択薬としてモルヌピラビルを使用することにしているが、当院での使用経験はまだない。なお、神戸市では、3月末の時点で、BA.2が約60%、4月中旬時点で約80%を占めることが確認されたため[18]、BA.1とBA.2を識別可能な変異PCR検出系(例:T547Kを検出するPCR検査)を導入していない当院では、2022年4月以降、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体は使用しない方針とした。
これらの重症化予防効果のある薬剤の当院での適応(表4)と各薬剤を使用する際の注意点(表5)を共有する(当院の「COVID-19の薬物治療ガイドライン」から抜粋)。
表4:重症化予防効果のある薬剤の適応(神戸市立医療センター中央市民病院の院内治療指針)
必須条件(すべてを満たす必要がある) |
1. 発症早期に投与開始できる パキロビッド®パック・ラゲブリオ®:5日以内 ベクルリー®・ゼビュディ®:7日以内 2. 呼吸不全がない 3. 服用薬との薬物相互作用がない(特に、パキロビッド®パックで注意) 4. 禁忌がない パキロビット®パック:eGFRが30mL/min未満の場合は使用不可 ラゲブリオ®:妊婦では使用不可、使用中と使用終了後4日間は授乳を中断する必要がある |
下記のいずれかを満たす場合に治療適応とする |
5. 免疫不全者(ワクチン接種の有無は関係なし) 6. 重症化リスク因子のない70歳以上、かつ、ワクチン接種未完了 7. 重症化リスク因子が1つ以上ある40歳以上、かつ、ワクチン接種未完了 8. 重症化リスク因子が3つ以上ある40歳未満、かつ、ワクチン接種未完了 9. 重症化リスク因子が3つ以上ある70歳以上、かつ、ワクチン接種完了 10. 妊婦、かつ、ワクチン接種未完了(特に、他の重症化リスク因子がある場合によい適応である) |
「ワクチン接種完了」の定義 |
・2回目接種後2週以降から6ヶ月まで ・3回目接種(booster接種)後1週以降 |
COVID-19の重症化リスク因子 |
肥満(BMI 30kg/m2以上)、心血管疾患(心不全、冠動脈疾患、高血圧)、慢性肺疾患(COPD、喘息など)、1型または2型糖尿病、慢性腎障害(eGFR < 60 mL/分)、慢性肝疾患(例:Child Pugh Class BまたはCの肝硬変)、悪性腫瘍、慢性神経疾患(認知症、脳卒中、てんかん、など)、重度の学習障害、ダウン症、ケアホーム居住者、重度の精神疾患、妊娠、免疫抑制状態(抗癌薬、造血幹細胞移植後、固形臓器移植後、原発性免疫不全症候群HIV感染症、免疫抑制薬使用中、など) |
補足 |
上記の条件を満たさない場合でも、重症リスク因子が1つ以上あり、主治医が必要と考える場合、投与することは可能である(適宜、感染症科医師にコンサルテーションする)。 |
表5 各薬剤の注意点
薬剤 | 注意点 |
ニルマトレルビル(N)/ リトナビル(R) |
・投与可能年齢:成人、または、12歳以上かつ40kg以上 ・妊婦への使用は可能 ・発症5日以内に開始する必要がある ・薬物相互作用のある薬剤が多いため、必ず服用中の薬剤を確認 ・在庫の確認が必要 ・投与量:1回N 300mg/R 100mg 1日2回 5日間 ・eGFR 30-60 mL/分の場合は減量が必要(Nの1回量が150mg) ・eGFR 30 mL/分未満の場合は使用不可 |
レムデシビル |
・投与可能年齢:成人、または、12歳以上かつ40kg以上 ・妊婦への使用は可能(当院での使用経験はない) ・発症7日以内に開始する必要がある ・通常入院が必要(3泊4日程度) ・投与量:初日200mg、2-3日目 100mg/日 ・腎不全(eGFR 30 mL/分未満)の場合は投与量調整が必要 ・一般流通している(薬価収載済み)ので、在庫の不安はない |
モルヌピラビル |
・投与可能年齢:18歳以上 ・妊婦には禁忌 ・発症5日以内に開始する必要がある ・服用中と服用後4日間の避妊と授乳中止が必要 ・投与量:1回800mg 1日2回 5日間 ・腎機能・肝機能による投与量の調整は不要 ・効果は、上記2剤と比較すると低い ・既感染者(orワクチン接種者)には効果が期待できない可能性がある |
ソトロビマブ |
・投与可能年齢:成人、または、12歳以上かつ40kg以上 ・発症7日以内に開始する必要がある ・オミクロンBA.2に効果が期待できない |
カシリビマブ/ イムデビマブ |
・投与可能年齢:成人、または、12歳以上かつ40kg以上 ・発症7日以内に開始する必要がある ・オミクロンに効果が期待できない |
5. 各薬剤の解説
1)ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド®パック)
デルタ流行期に行われた二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験(EPIC-HR)で、発症5日以内にニルマトレルビル/リトナビルを投与開始することによって、18歳以上のワクチン未接種の重症化高リスク患者(軽症~中等症)の28日以内の入院または死亡が、88%減少(治療群0.8% vs プラセボ群6.3%)することが示された[19]。この臨床試験では、約50%が既感染者(ヌクレオカプシド蛋白に対するIgGが陽性)であったが、サブグループ解析では、既感染者の場合でも入院または死亡抑制効果が確認された(治療群0.2% vs プラセボ群1.5%)。また、治療開始5日目のウイルス量(鼻咽頭ぬぐい液)は有意にニルマトレルビル/リトナビル投与群で低く、投与することによって感染伝播が抑制される可能性が示唆された。
文献化はされていないが、ファイザー社の資料によると、重症化標準リスク群(重症化リスク因子のあるワクチン接種者、または、重症化リスク因子のないワクチン非接種者)を対象とした二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験(EPIC-SR)の中間解析では、症状の改善は早まらなかったが、28日以内の入院または死亡は減少する傾向が確認され(投与群0.7% vs プラセボ群2.35%、統計学的有意差なし)、治療開始5日目のウイルス量は投与群で有意に低かった[20]。
投与量は、eGFR 60 mL/分以上の場合、1回ニルマトレルビル300mgとリトナビル100mgを1日2回、5日間である。eGFR 30~60 mL/分の場合は減量が必要で、ニルマトレルビルの1回投与量を150mgに減量する。eGFR 30 mL/分未満の場合は使用できない。
ニルマトレルビル/リトナビルの最大の欠点は、薬物相互作用のために併用できない薬剤が非常に多いことである。詳細は、添付文書や国立国際医療研究センター病院の「パキロビッド®パックとの併用に慎重になるべき薬剤リスト」[21]を参照するとよい。「Lexicomp® Drug Interactions」も有用である。よく使用されている併用禁忌薬には、アゼルニジピン、アミオダロン、リバーロキサバン、ジアゼパム、トリアゾラム、ボリコナゾール、カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシンなどが挙げられる。禁忌とはなっていないが、状況により併用を控えたほうがよい併用注意薬としては、クラリスロマイシン、コルヒチン、クエチアピン、カルシウム拮抗薬、アトルバスタチン、ワルファリン、シクロスポリン、タクロリムス、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、トラゾドンなどが挙げられる。特に、高血圧・不整脈の既往がある場合や、抗けいれん薬、抗不安薬・睡眠薬、免疫抑制薬を使用中の場合は、必ず薬物相互作用を確認することが重要である。
また、2022年4月時点では、流通制限があること(各医療機関のストックは約5回分である)、処方できる医療機関が限定されていたこと(病院または有床診療所に限定)から、処方したくても処方できない医療機関(特に多くの患者を診断している無床診療所)は非常に多かったと思われる[22]。2022年4月22日の厚生労働省の事務連絡で、無床診療所での院外処方が可能となったため、流通制限は継続中ではあるが、今後、処方量の増加が期待される。
2)レムデシビル(ベクルリー®)
従来株~アルファ流行期に行われた二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験(PINETREE)で、発症7日以内にレムデシビルを投与開始ことによって、12歳以上のワクチン未接種の重症化高リスク患者(軽症~中等症)の28日以内の入院または死亡が、87%減少(治療群0.7% vs プラセボ群5.3%)することが示された[23]。ただし、ニルマトレルビル/リトナビルと異なり、治療開始7日目のウイルス量(鼻咽頭ぬぐい液)は、レムデシビル投与群とプラセボ群で同等であったため、投薬による感染伝播性の低下は期待できないのかもしれない。
臨床試験は、eGFR 30 mL/分未満の患者を除外して行われているため、重度の腎障害のある患者に対するレムデシビルの効果を明確に示した質の高いエビデンスは筆者の知る限り存在しない。ただし、レムデシビルのPK/PDを検討した研究から、非透析患者であれば、初日200mg、2日目100mgを投与すれば、3日間以上の十分な血中濃度が期待できる[24]。そのため、eGFR 30 mL/分未満の非透析患者の場合、副作用に注意しながら、2回投与を試してもよいと考える。透析患者の場合は、透析4時間前に100mgを投与し、それをもう1回行えば、3日間以上の十分な血中濃度が期待できる[25](表6)。
レムデシビルの副作用は、肝障害、腎障害、徐脈[26, 27]などが報告されている。製剤内にシクロデキストリンが含まれているため、腎不全患者に対して使用を控えたほうがよいとする意見もあるが[28]、安全に使用可能とする報告もある[29]。
表6 腎不全患者におけるレムデシビルの投与量
腎機能 | 投与方法 | 補足 |
eGFR > 30 mL/分 | 初日200 mg 2日目以降100 mg/日 | 臨床試験で効果が示されている |
eGFR 15-30 mL/分 | 初日200 mg 2日目以降 100mg 48時間おき | PK/PDについての研究で検討 |
eGFR < 15 mL/分 | 初日 200mg 2日目以降 100mg 96時間おき | PK/PDについての研究で検討 |
血液透析中 | 透析4時間前に100mg投与 | loading doseは不要 |
3)モルヌピラビル(ラゲブリオ®)
主にデルタ流行期に行われた二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験で、発症5日以内にモルヌピラビルを投与開始することによって、18歳以上のワクチン未接種の重症化高リスク患者(軽症~中等症)の29日以内の入院または死亡が、約30%減少(治療群6.8% vs プラセボ群9.7%)することが示された[30]。ニルマトレルビル/リトナビルやレムデシビルと直接効果を比較した臨床試験はないが、プラセボ群との効果の差が他の薬剤より小さいため(モルヌピラビル 約30% vs 他の薬剤 約80%)、各ガイドラインでは、他の薬剤よりも推奨度が低くなっている。また、サブグループ解析ではあるが、既感染者(SARS-CoV-2 IgG陽性者)に対して入院または死亡抑制効果を認めなかったことに注意が必要である(治療群 3.8% vs プラセボ群 1.7%)。ワクチン接種者への効果は検討されていないが、既感染者に対して無効であることから、ワクチン接種者に対する効果もそれほど期待できないことが予想される。
モルヌピラビルは、18歳未満の小児・青年期に対して臨床試験は行われておらず、現時点で投与適応はない。また、突然変異誘発・催奇形性が懸念されるため、妊婦への投与は禁忌である。妊娠可能年齢の女性は、使用中と使用終了後4日間は避妊が必要である。また、授乳中の女性も、使用中と使用終了後4日間は授乳を中断することが推奨されている。
腎機能と肝機能に基づく投与量調整は不要であり、その点では使用しやすい薬剤である。一方で、カプセルが大きく特に高齢者では内服しにくい可能性がある。また、他の薬剤と同様に流通制限があるため、自施設の在庫を確認しながら、診療を行う必要がある。
4)抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体
(1) ソトロビマブ(ゼビュディ®)
従来株~アルファ流行期に行われた二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験で、発症5日以内にソトロビマブ(500mg 単回静注)を投与することによって、18歳以上のワクチン未接種の重症化高リスク患者(軽症~中等症)の29日以内の入院または死亡が、約80%減少(治療群 1% vs プラセボ群 6~7%)することが示された[31, 32]。また、治療開始7日目のウイルス量は有意にソトロビマブ投与群で低く、投与することによって感染伝播が抑制される可能性が示唆された。
オミクロンBA.1系統に対する中和活性が維持されていたため、第6波で多くの患者に使用された。 また、他の薬剤と比較して禁忌が少なく、妊婦や腎不全患者(透析患者も含む)に対して安全に使用可能であり、利便性が高い薬剤であった。しかし、2022年3月中旬以降に増加傾向となったオミクロンBA.2系統に対する中和活性の低下が示されたことから、2022年4月現在はその使用は推奨されなくなった。BA.1とBA.2を識別可能な変異PCR検出系を導入している病院では、BA.1であることが判明している患者に限り、ソトロビマブの投与が検討できる。
以前は、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体投与後のCOVID-19ワクチン接種は、90日以上の間隔をあけることが推奨されていた。しかし、(ソトロビマブとは異なる)抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体(bamlanivimab)投与後のCOVID-19ワクチン効果を検討した研究では、投与からワクチン接種までの期間が、64日以内、65-84日、85日以上、の場合で、免疫学的効果(IgG値で評価)の差が認められなかった[33]。そのため、現在では、モノクローナル抗体の投与の時期に関係なく、COVID-19ワクチンの接種は可能であると考えられている。なお、日本のCOVID-19ワクチン・モノクローナル抗体の添付文書には、これらの投与間隔についての記載はない。
(2) カシリビマブ/イムデビマブ(ロナプリーブ®)
アルファ流行前に行われた二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験で、発症7日以内にカシリビマブ/イムデビマブ(600mg/600mg 単回静注)を投与することによって、18歳以上のワクチン未接種の重症化高リスク患者(軽症~中等症)の28日以内の入院または死亡が、70%減少(治療群 1.0% vs プラセボ群 3.2%)することが示された[34]。サブグループ解析では、既感染者(N蛋白とS蛋白に対するIgGが陽性)でも入院または死亡予防効果を認めた。また、治療開始7日目のウイルス量は有意にカシリビマブ/イムデビマブ投与群で低く、投与することによって感染伝播が抑制される可能性が示唆された。infusion reactionは0.3%未満であり、安全性は高い。
また、アルファ流行前に行われた家庭内曝露後96時間以内の18歳以上の濃厚接触者(SARS-CoV-2 PCR検査陰性)に対するカシリビマブ/イムデビマブ皮下注(600mg/600mg)のCOVID-19発症予防効果を検討したプラセボ対照無作為化比較試験では、81.4%の発症予防効果(予防投与群 1.5% vs プラセボ群 7.8%)と、66.4%の無症候性感染も含む感染予防効果(予防投与群4.8% vs プラセボ群 14.2%)が示された[35]。さらに、index caseの陽性検体が採取されてから96時間以内の無症状病原体保有者(SARS-CoV-2 PCR検査陽性の症状のない感染者)に対するカシリビマブ/イムデビマブ皮下注(600mg/600mg)による症候性感染予防効果を検討したプラセボ対照無作為化比較試験では、46%の予防効果が示された(予防投与群 29.0% vs プラセボ群 42.3%)[36]。
ブレイクスルー感染(COVID-19ワクチン接種者に発症したCOVID-19)での抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体の効果を検討した無作為化比較試験は筆者の知る限り存在しないが、入院予防効果を検討した観察研究は報告されている。アルファ~デルタ流行期に検討されたものであるが、モノクローナル抗体(おもにカシリビマブ/イムデビマブが使用された)投与群は、非投与群より77%入院が少なく、呼吸不全は86%少なかった[37]。この研究から、ワクチン接種済みのCOVID-19患者の場合でも、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体の効果は期待できると考えられる。
デルタ流行期は多くの患者に投与されたが、オミクロンに対する中和活性が著明に低下しているため、オミクロン流行後は使用されなくなった。
5)その他の薬剤(表7)[2, 17]
重症化予防効果の有無を検討されてきた他の薬剤を簡単に紹介する。コルヒチン、ブデソニド(吸入)、フルボキサミンは、複数の臨床試験で小さな効果が認められているが、これまで説明してきた薬剤より効果は低いため、優先して使用することはない。また、これらの薬剤は(デキサメタゾンを除いて)、COVID-19に対する保険適用がないことに注意が必要である。
表7 軽症・中等症COVID-19に対するその他の薬剤の効果
薬剤 | 効果 |
デキサメタゾン | 予後が悪化する可能性がある |
ファビピラビル | 複数の無作為化比較試験で効果が否定されている |
イベルメクチン | 複数のメタ解析、2つの大規模無作為化比較試験で効果が否定されている |
コルヒチン | 入院または死亡がわずかに減少する可能性がある |
ブデソニド(吸入) | 症状の改善が早まる可能性がある |
フルボキサミン | 入院が減少する可能性がある |
※デキサメタゾン以外の保険適用はない
6. 軽症・中等症COVID-19に対する薬物治療の要点
・年齢、重症化リスク因子の数、免疫不全の有無、臨床試験で示された治療効 果、発症からの日数、静脈注射が可能な医療環境かどうか、服用中の薬剤との薬物相互作用、流行している変異体(variant)、薬剤の需要と供給のバランス(流通制限の有無)を検討したうえで、治療薬を選択する。
・第1選択薬はニルマトレルビル/リトナビル、第2選択薬はレムデシビルである。どちらも使用できない場合にのみ、モルヌピラビルの使用を検討する。
・2022年4月現在、日本で使用可能な抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体(カシリビマブ/イムデビマブ、ソトロビマブ)は、原則として使用しない。
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