第14回 米国式感染症科ケースカンファレンス(1/3)
(※今号のセミナーレポートは、3回連続で配信します。)
今号では、IDATENによる「第14回米国式 感染症科ケースカンファレンス」のレポートをいたします。
特別講演
特別講演は、「HIV領域で見られる感染症」をテーマに、国立国際医療センター戸山病院エイズ治療・研究開発センターの照屋勝治先生にお願いしました。同院では現在2000人を超えるというHIV患者の豊富な治療経験から、HIV感染者の爆発的増加の現状、HIVを疑うタイミングやHIVに関する基本的事項、そしてHIVに合併する日和見感染症についてお話しいただきました。なかでも、HIV感染者の増加の主因は今でも同性間性的接触にあることや、高齢者だからといってHIV感染症を否定してはいけないということ、HIVに合併する日和見感染症においては、細菌性肺炎に合併した肺結核やニューモシスチス肺炎に合併した肺クリプトコッカスなどのケースを示しながら「一つ病原体を発見したからといって安心しない(常に二つ目の原因微生物を意識する)」ことを強調してくださいました。そしてこのような観点から、積極的に気管支内視鏡を行っていらっしゃるということも印象に残りました。また、HIV急性感染期における、「髄膜脳炎」について、大変興味深い症例のご報告をしていただきました。
ケーススタディ
ケーススタディは、健和会大手町病院総合診療科の山口征啓先生、乗井達守先生、長野県立こども病院麻酔・集中治療科の笠井正志先生、浅野祥孝先生、洛和会音羽病院ICU/CCU、腎臓内科、感染症科、総合診療科、トラベルクリニックの大野博司先生からそれぞれ提示いただきました。
症例は、
- 著明な頸部リンパ節腫大と汎血球減少を初発症状とし、びまん性肺胞出血による急激な呼吸不全をきたしてICU管理となった生来健康な30歳代男性
- 1日10行の水溶性下痢の後に全身状態の悪化を認め、人工呼吸器管理となった5か月男児
- 約1週間経過の腰痛を主訴に入院した70歳代女性
です(順不同)。
次回、フロアでのディスカッションや鑑別診断を中心にレポートいたしますので、それまで皆様方、それぞれどのような鑑別疾患・治療方針がたてられるかお考えください。
(次回に続きます)