【ミニレビュー】
フルオロキノロン系抗菌薬
はじめに
フルオロキノロン系抗菌薬は、非常に便利な抗菌薬です。最もよく使用されているレボフロキサシンは、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラなどの市中肺炎の原因微生物のほとんどをカバーします。また、大腸菌などの腸内細菌科細菌にも効果があるため、尿路感染症や胆道系感染症にも使用可能です(偏性嫌気性菌カバーのためメトロニダゾールの併用は必要)。さらに、緑膿菌に効果のある唯一の経口抗菌薬(日本にしかない内服のカルバペネム系抗菌薬であるテビペネムも緑膿菌には無効[1-3])でもあるため、とても重要な薬剤であり、大切に使いたいところですが、過剰な使用と耐性菌の増加が問題となっています[4]。
フルオロキノロン系抗菌薬の使用状況と耐性率
便利であるがゆえに、フルオロキノロン系抗菌薬は、メロペネム、セフトリアキソン、経口第3世代セフェム、クラリスロマイシンなどと並んで、「とりあえず○○」としてよく使われる代表的な抗菌薬の一つだと思います。日本で使用される抗菌薬の93%は経口抗菌薬であり、そのうちの20%がフルオロキノロン系抗菌薬(内訳は54%がレボフロキサシン、21%がガレノキサシン)です[5]。レボフロキサシンの使用量は増加傾向で、2004年から2016年にかけて34%も増加しました。ちなみに、フルオロキノロン系抗菌薬の点滴静注製剤はほとんど使用されておらず、レボフロキサシンが点滴静注抗菌薬全体の3%を占める程度です[5]。経口フルオロキノロン系抗菌薬の使用量は増加傾向であり、2004年から2016年にかけてレボフロキサシンの使用量は34%も増加しました。
厚生労働省院内感染対策サーベイランス(Japan Nosocomial Infections Surveillance; JANIS)の2017年のデータによると、大腸菌のレボフロキサシン耐性率は全体で40%、外来患者で29%でした[4, 6]。そのため、市中感染症・医療関連感染症のどちらにおいても、その有用性が低下していると考えられます。
日本政府の方針――薬剤耐性対策
近年、フルオロキノロン系抗菌薬だけでなく、様々な抗菌薬に対する薬剤耐性菌が世界的に増加しており、国際社会でも問題になっています。2015年5月の世界保健総会(世界保健機関の最高意思決定機関)、翌6月に行われたG7サミットにおいて「薬剤耐性(antimicrobial resistance; AMR)に関するグローバル・アクションプラン」が採択され、日本でもそれに応じて2016年4月に「AMR対策アクションプラン」が取りまとめられました[7]。
薬剤耐性対策の一つの柱として抗微生物薬の適正使用の推進が挙げられており、これは抗菌薬適正使用を推進することによって不必要な抗菌薬使用を減らし、耐性菌の減少を目指すものです。フルオロキノロン系抗菌薬はその標的の一つとなっており、2020年までに(2013年と比較して)使用量を50%減らすことが目標値として設定されました。また、大腸菌のフルオロキノロン耐性率を25%以下にすることも数値目標として設定されています。実際には、なかなか達成は難しいのでしょう。しかし、2013年から2018年にかけて経口フルオロキノロン系抗菌薬の販売量が17.1%減少しており[8]、適正使用への意識は高まり、良い方向に進んでいっているようです。
ここまで、フルオロキノロン系抗菌薬の現在置かれている状況を述べてきましたが、フルオロキノロン系抗菌薬の適正使用の重要性・必要性は明らかであり、国の政策の一つでもあります。その適正使用を今後さらに進めていくためには、フルオロキノロン系抗菌薬の特徴・適応・欠点についてきちんと理解する必要があり、これらについて本稿で取り上げたいと思います。なお、本稿の内容は筆者個人の見解であり、所属施設の見解を代表したものではありません。
最重要点
最初に要点を3つ提示します。1. 覚えるべきフルオロキノロン系抗菌薬は3つだけ。
2. フルオロキノロン系抗菌薬が第1選択となる臨床状況はほとんどない。
3. フルオロキノロン系抗菌薬を使用する場合は「副作用」「薬物相互作用」「抗結核作用」に注意する。
本稿では、この3点を中心に説明していきます。
フルオロキノロン系抗菌薬の種類
――覚えるべきフルオロキノロン系抗菌薬は3つだけ
感染症の教科書をみると、フルオロキノロン系抗菌薬は約10種類存在します。また、2019年3月現在、日本で使用可能な内服のフルオロキノロン系抗菌薬は、筆者が調べた限りでは10種類存在します。しかし、実際に臨床現場で使用する可能性があり、一般臨床医として覚えておくべきものは3種類しかありません(表1)[9, 11]。しかも、そのうちの1つであるモキシフロキサシンは、めったに使用しないので(感染症科で働いていても年数例程度)、実際の臨床現場で一定の頻度で使用することになるフルオロキノロン系抗菌薬は、シプロフロキサシンとレボフロキサシンの2つだけです。
抗菌薬 | 投与経路 | 標準的な投与量 (腎機能正常) | 腎機能による投与量調整 |
---|---|---|---|
シプロフロキサシン | 経口 点滴静注 | 経口:1回500mg 1日2回 静注:1回300~400mg 8~12時間おき | 必要 |
レボフロキサシン | 経口 点滴静注 | 経口:1回500~750 mg 1日1回 静注:1回500~750 mg 24時間おき | 必要 |
モキシフロキサシン | 経口 | 1回400mg 1日1回 | 不要 |
(文献9-11を参考に作成)
※日本の添付文書の投与量を超える箇所があるため、使用する場合はご注意ください。
フルオロキノロン系抗菌薬のスペクトラムと微生物に対する「使いどき」
――第1選択となる臨床状況はほとんどない
3つのフルオロキノロン系抗菌薬のスペクトラムの大まかなイメージと特徴は、表2と表3を参考にしてください。非常に広いスペクトラムを持った抗菌薬ですが、基本的には緑膿菌を含む グラム陰性桿菌に対する抗菌薬 であることをまず押さえてください。しかし、尿路感染症[12]や胆道系感染症[13]の原因として最も多いグラム陰性桿菌である 大腸菌の耐性化 が進んでおり、経験的治療における有用性はかなり限定的です。
抗菌薬 | 略号 | 肺炎球菌 | 腸内細菌科細菌 | 緑膿菌 | 嫌気性菌 |
---|---|---|---|---|---|
シプロフロキサシン | CPFX | × | ○ | ◎ | × |
レボフロキサシン | LVFX | ○ | ○ | ○ | × |
モキシフロキサシン | MFLX | ○ | ○ | △ | ○ |
抗菌薬 | 特徴 |
---|---|
シプロフロキサシン | ・緑膿菌・腸内細菌科細菌への活性が最も高い ・スペクトラムは最も狭いため、多くの場合で第1選択となる ・日本の添付文書に記載されている用量が少ない(600 mg/日) |
レボフロキサシン | ・肺炎球菌に効果があるため、市中肺炎の治療で選択可能 ・レジオネラ肺炎の第1選択薬の一つ ・Stenotrophomonas maltophilia感染症の第2選択薬 |
モキシフロキサシン | ・腸管内の嫌気性菌に対して効果があるため腹腔内感染症の治療選択肢の一つ(その他の状況で使用することはほとんどない) ・緑膿菌への効果は不十分 |
【Point】 フルオロキノロン系抗菌薬はグラム陰性桿菌用の抗菌薬である しかし、耐性化が進み、有用性が低下してしまっている |
広域スペクトラムの抗菌薬であること、唯一緑膿菌に効果のある経口抗菌薬 であることから、病院内・外来の感染症診療において重要な抗菌薬であり、これ以上の耐性化が進まないように大切に使用すべきです。また、後述しますが、副作用・薬物相互作用が比較的多いこと、抗結核作用があることからも、乱用は避けるべき抗菌薬です(表4)。筆者の考える第1選択となりうる状況を表5にまとめました。以下、グラム陰性桿菌、グラム陽性球菌、嫌気性菌、その他、に対するフルオロキノロン系抗菌薬の効果と適応を説明していきます。
・広域スペクトラム(緑膿菌までカバー)を持つ重要な抗菌薬である。 ・グラム陰性桿菌の耐性率が高いため、効果が期待できない可能性が高い。 ・重篤な副作用や薬物相互作用が問題となることがある。 ・抗結核作用があり、肺結核の診断を遅らせるリスクがある。 |
状況 | 選択する薬剤 | 代替薬 | |
---|---|---|---|
GNR | βラクタムアレルギー | CPFX | AZT、アミノグリコシド |
レジオネラ肺炎 | LVFX | AZM | |
市中肺炎の外来治療 | LVFX | AMPC+AZM、A/C | |
緑膿菌感染症の外来治療 | CPFX | なし | |
Salmonella属による感染症 | CPFX | CTRX | |
FN予防 | LVFX | なし | |
GPC | なし | ||
嫌気性菌 | なし | ||
その他 | なし |
GNR(gram negative rods): グラム陰性桿菌、GPC(gram positive cocci): グラム陽性球菌、FN(febrile neutropenia): 発熱性好中球減少症、CPFX(ciprofloxacin): シプロフロキサシン、LVFX(levofloxacin): レボフロキサシン、AZT(aztreonam): アズトレオナム、AZM(azithromycin): アジスロマイシン、AMPC(amoxicillin): アモキシシリン、A/C:amoxicillin/clavulanate: アモキシシリン/クラブラン酸、CTRX(ceftriaxone): セフトリアキソン
1.グラム陰性桿菌
フルオロキノロン系抗菌薬は、前述したようにグラム陰性桿菌用の抗菌薬であり、腸内細菌科細菌や緑膿菌などのグラム陰性桿菌(gram negative rods; GNR)を広くカバーしますが、実際にはあまり第1選択となる状況はありません。ここではその理由と、「使いどき」について説明します。
また、同じフルオロキノロン系抗菌薬でも、GNRに対する感受性率や効果の差があるため(シプロフロキサシン≧レボフロキサシン>モキシフロキサシン)、GNRを対象としている状況 では、原則として最も効果が期待できる シプロフロキサシン を選択します[14,15]。特に緑膿菌への効果は、シプロフロキサシンが最も優れていると考えられています。一方、モキシフロキサシンは効果が期待できないため、緑膿菌を考慮する状況で使用してはいけません[14,16-19]。
【Point】 グラム陰性桿菌に使用する場合は、原則シプロフロキサシンを選択する |
1)静注抗菌薬で入院治療を行う場合
大腸菌のフルオロキノロン耐性率が高いこと、副作用・薬物相互作用など(後述)の欠点があるため、入院症例においてβラクタム系抗菌薬が使用できる状況であれば、そちらを優先して使用します。そのため、フルオロキノロン系抗菌薬を、入院が必要となる市中感染症や院内感染症の初期治療として選択することはほとんどありません。
入院患者において、あえてフルオロキノロンを選択する状況は、重度のβラクタムアレルギーがある場合です。この状況でのGNRカバーは、感染臓器が何であれ(尿路感染症、腹腔内感染症、カテーテル関連血流感染症)、原則シプロフロキサシンを選択します。代替薬としてはアズトレオナムとアミノグリコシド系抗菌薬が挙げられるので、院内アンチバイオグラムや感染臓器を考慮して使い分けます。例えば、尿路感染症以外で、アミノグリコシド単剤を選択することはありません[20]。状態が安定し経口摂取が可能であれば、bioavailabilityが良い薬剤のため、内服薬に変更することが可能です。
そのほか、入院している患者のグラム陰性桿菌感染症に対してフルオロキノロン系抗菌薬を使用する状況としては、以下の3つがあると考えています。
1つ目は、レジオネラ肺炎の治療です。これは唯一第1選択としてフルオロキノロン系抗菌薬を選択できる状況だと思われます。軽症でない限り点滴静注薬で治療を開始するため、点滴静注製剤のあるレボフロキサシンまたはシプロフロキサシが選択肢となります。市中肺炎の治療を行う場合、肺炎球菌もカバーできる抗菌薬を選択するため、レボフロキサシンを使用することが多いと思います[21,22]。効果を比較したランダム化比較試験はありませんが、アジスロマイシンは同等の効果が期待できると考えられており、こちらも第1選択薬として使用可能です[23]。
2つ目は、緑膿菌または耐性傾向の強い腸内細菌科細菌による重症感染症における経験的治療です。院内アンチバイオグラムやその患者の耐性菌検出歴を参考に、βラクタム系抗菌薬と、シプロフロキサシンまたはアミノグリコシド系抗菌薬の併用が検討されます。例えば、院内肺炎・人工呼吸器肺炎、shockを呈する発熱性好中球減少症[6,24]が該当します。
3つ目は、ST合剤が使用できない状況におけるStenotrophomonas maltophilia感染症の治療です。一般的に、フルオロキノロン系抗菌薬の感受性はST合剤より劣ると考えられていますが、これまでの報告によるとレボフロキサシンは70%以上で感受性が良好です[25,26]。また、観察研究ではST合剤と同等の効果が示されており、第2選択薬の一つと考えられています[27,28]。シプロフロキサシンは感受性率が低いため、レボフロキサシンを優先して使用します[26,29]。代替薬としてはミノサイクリンがあります[30]。施設によって薬剤感受性パターンは異なると思うので、自施設のアンチバイオグラムを参考に、第2選択薬(レボフロキサシンまたはミノサイクリン)を選択してください。
2)内服抗菌薬で治療を行う場合
外来診療において、GNRをカバーする抗菌薬を処方する状況は、軽症の尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎)、軽症の腹腔内感染症(憩室炎、虫垂炎など)、軽症の市中肺炎が想定され、これらの状況でフルオロキノロン系抗菌薬の使用が検討されます(表6)。この場合、尿路感染症ではシプロフロキサシン、腹腔内感染症ではシプロフロキサシン(メトロニダゾールを併用)またはモキシフロキサシン、市中肺炎ではレボフロキサシンが選択されます。
感染症 | 想定されるGNR |
---|---|
尿路感染症 | 単純性:Escherichia coli、Proteus mirabilis、Klebsiella pneumoniae 複雑性:上記、Pseudomonas aeruginosa |
腹腔内感染症 | 腸内細菌科細菌 |
市中肺炎 | Haemophilus influenzae、Moraxella catarrhalis 誤嚥、既存の肺疾患、最近の入院歴など:腸内細菌科細菌、緑膿菌[25,31] |
(1)尿路感染症
シプロフロキサシンは、尿路感染症においてevidenceが豊富な薬剤ですが[32-34]、大腸菌の耐性率が高いため、実臨床における有用性は限定的であり、経験的治療に積極的に選択することあまりないと思います。また、副作用の観点から、単純性尿路感染症の場合、代替薬が存在するのであれば、その代替薬を使用することが推奨されています[35]。腸内細菌科細菌が原因の場合、代替薬としてはST合剤、あるいは1日1回投与が可能な静注抗菌薬であるセフトリアキソンまたはアミノグリコシド系抗菌薬があり、院内アンチバイオグラムを参考に、感受性の良い薬剤を選択します。状態が改善傾向かつ安定していることが前提ですが、感受性があれば経口βラクタム系抗菌薬(アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラン酸、セファレキシン)も使用可能です[34]。緑膿菌による尿路感染症を外来で治療するケースはあまりないと思いますが、その場合はフルオロキノロン系抗菌薬しか選択肢がありません。その際は、最も効果が期待できるシプロフロキサシンを選択します。
(2)腹腔内感染症
軽症の憩室炎や虫垂炎は外来治療可能です。また、肝膿瘍の治療を経口抗菌薬にスイッチした場合も外来治療に移行できます。このような状況では、腸内細菌科細菌のほかにBacteroides spp.などの嫌気性菌もカバーする必要があるため、シプロフロキサシンとメトロニダゾールを併用することが一般的です。代替薬としては、アモキシシリン/クラブラン酸、ST合剤とメトロニダゾールの併用が挙げられます。また、モキシフロキサシンは、嫌気性菌に対してある程度の効果が期待できるので、内服する錠剤の数を減らしたい場合に検討します。ただし、腸内細菌科細菌に対する効果がシプロフロキサシンより劣る可能性があること、Bacteroides属の耐性率の上昇や一部の腸管内に存在する嫌気性菌について感受性率が悪いことから、積極的には選択しません。
(3)市中肺炎
経験的治療では、肺炎球菌、Haemophilus influenzae、Moraxella catarrhalisをカバーする治療薬を選択します。患者背景や喀痰グラム染色結果によって、Klebsiella pneumoniaeや緑膿菌のカバーも考慮します[25,31]。
その際、最も頻度の高い肺炎球菌をカバーする必要があるため、フルオロキノロン系抗菌薬を使用する場合、肺炎球菌への効果が期待できないシプロフロキサシンでは不適切であり[14]、レボフロキサシンを選択します。肺炎球菌、Haemophilus influenzae、Moraxella catarrhalis、Klebsiella pneumoniaeの感受性率は、それぞれ98.2%、99.6%、100%、96.4%なので[36]、効果は十分に期待できます。モキシフロキサシンは、スペクトラムがより広いこと、治療成績においてレボフロキサシンより優れている点はないことから、市中肺炎の診療ガイドラインに選択肢の一つになっていますが[37]、筆者が使用することはありません。代替薬は、高用量のアモキシシリン(1回1g 1日3回、注:日本の添付文書の用量を超えている)とアジスロマイシンの併用、アモキシシリン/クラブラン酸、セフトリアキソン(非定型肺炎をカバーする場合はアジスロマイシンを併用)です。既存の肺疾患、最近の入院歴がある場合[25]、喀痰グラム染色で緑膿菌を疑うGNRが観察された場合は、レボフロキサシンの使用を検討します。
実際のところ、緑膿菌肺炎を外来治療する状況はあまりないと思われるので、市中肺炎の外来診療でレボフロキサシンでしか治療できないという状況はかなり少ないのではないでしょうか。レボフロキサシンの利点は、錠数が少ないため良好なアドヒアランスが期待できること、高いbioavailabilityと豊富なevidenceと使用経験があることです[37]。しかし、レボフロキサシンは、実は肺結核であった場合にその診断を遅らせてしまうリスクと、頻度は低いですが重篤な副作用のリスクがあるため、慎重に適応を検討する必要があります。
(4)その他
腸チフスなどのSalmonella属による感染症で抗菌薬の適応がある場合、感受性があればシプロフロキサシンで治療します。重症感染症の場合は、入院してセフトリアキソンを使用することが一般的です。
また、急性骨髄性白血病・骨髄異形成症候群の寛解導入療法や同種移植などにおける高度な好中球減少症が7日間以上想定される際に、細菌による発熱性好中球減少症の予防にレボフロキサシンまたはシプロフロキサシンの予防内服を行います。口腔内粘膜炎が強い場合は、口腔内のStreptococcus属をカバー可能なレボフロキサシンを選択します[16]。多くのガイドラインで予防投与が推奨されていますが、腸内細菌科細菌のフルオロキノロン耐性率が高い医療施設では、効果があまり期待できないかもしれません[38,39]。
【Point】 フルオロキノロン系抗菌薬はグラム陰性桿菌用の抗菌薬だが、第1選択となる臨床状況は少ない |
2.グラム陽性球菌
フルオロキノロン系抗菌薬は、黄色ブドウ球菌と肺炎球菌をカバーします。
1)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
厚生労働省院内感染対策サーベイランス(Japan Nosocomial Infections Surveillance; JANIS)の2017年のデータによると、レボフロキサシンへの感受性率は、MSSAの場合85.8%、MRSAの場合13.1%です。レボフロキサシンとモキシフロキサシンは、シプロフロキサシンより感受性が一般的には良いとされています[14]。ただし、より効果の確立した抗菌薬(セファゾリンやバンコマイシン)があるため、フルオロキノロン系抗菌薬を使用することはほとんどありません。
使用する可能性がある状況は、感受性のあるStaphylococcus aureusによる椎体炎や人工関節感染で点滴抗菌薬から内服抗菌薬にスイッチする場合です。その場合、レボフロキサシンが選択されることが多いと思います(通常はリファンピシンと併用)[40-42]。モキシフロキサシンは、リファンピシンと併用すると血中濃度が約30%低下するため、あえて選択することはありません[40,43]。この状況での代替薬は、ST合剤、ミノサイクリン、クリンダマイシンです[40,41]。感受性と副作用などを検討して、これらの中から治療薬を選択することが多いです。ちなみに、筆者は、ST合剤とクリンダマイシンが使用できない場合のみ、レボフロキサシンの使用を検討します。
2)肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)
レボフロキサシンとモキシフロキサシンは、肺炎球菌をカバーするため(respiratory quinoloneと呼ばれる)、前述したように市中肺炎で使用可能です[14]。外来治療を行う場合に便利ですが、フルオロキノロン系抗菌薬には後述する欠点があるため、代替薬(高用量アモキシシリンとアジスロマイシンの併用など)が使用できる場合は、そちらを選択したほうがよいと考えています。
【Point】 フルオロキノロン系抗菌薬をグラム陽性球菌に対して第1選択薬として使用することはほとんどない |
3.嫌気性菌(主にBacteroides属)
モキシフロキサシンは、Bacteroides属やその他の口腔内・腸管内の嫌気性菌に感受性がある程度期待できますが、臨床データがかなり限られています[44]。使用可能な状況としては、軽症から中等症の腹腔内感染症[45,46]が考えられますが、大腸菌のフルオロキノロン系抗菌薬への耐性率の上昇と、Bacteroides属の耐性率の上昇[47,48]によって、その有用性はかなり限定的です。報告によっては、Bacteroides属の30%以上が耐性化しているとされています[49]。日本における正確なサーベイランスデータはないと思いますが、ある程度耐性化しているものと考えて対応したほうがよいでしょう。そのため、より耐性率が低く効果が期待できる抗菌薬(メトロニダゾールなど)が使用できない場合、かつ、嫌気性菌以外の原因微生物(例えば、腹腔内感染症におけるEscherichia coliやKlebsiella pneumoniae)も感受性がある場合に限り、その使用が許容されると考えます。
【Point】 フルオロキノロン系抗菌薬を嫌気性菌に対して第1選択薬として使用することはほとんどない |
4.その他
結核菌と非定型肺炎の原因微生物に効果があります。
1)結核菌
レボフロキサシンとモキシフロキサシンは、結核菌への効果が高いことが分かっています[50]。ただし、現在の標準治療を超える効果は示されておらず[51-53]、第2選択薬という位置付けとなっています。そのため、耐性結核や副作用で第1選択薬が使用できない場合に使用されます[51]。レボフロキサシンとモキシフロキサシンの効果は同等と考えられますが[54]、モキシフロキサシンは保険適用がないため、通常はレボフロキサシンを選択します。また、最近の研究では、リファンピシン耐性結核の治療において、モキシフロキサシンの有用性が示されました[55]。
【Point】 フルオロキノロン系抗菌薬は、結核菌に対する第2選択薬の一つ |
2)非定型肺炎の原因微生物
非定型肺炎の原因微生物は、Legionella spp.、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Chlamydia psittaciが挙げられます。Mycoplasma pneumoniaeとChlamydia pneumoniaeでは、フルオロキノロン系抗菌薬の効果が十分期待できますが[56]、いずれもマクロライド系抗菌薬(主にアジスロマイシンが選択される)またはテトラサイクリン系抗菌薬(ドキシサイクリンまたはミノサイクリン)で治療可能なため、あえてフルオロキノロン系抗菌薬を使用する必要はありません。Chlamydia psittaciでは、フルオロキノロン系抗菌薬の臨床データはほとんどないため、その効果はよく分かっておらず、通常はドキシサイクリンで治療します[57,58]。
フルオロキノロン系抗菌薬の欠点
――使用する場合は「副作用」「薬物相互作用」「抗結核作用」に注意する
フルオロキノロン系抗菌薬の最大の欠点として、大腸菌などのグラム陰性桿菌の耐性率が高いことは、すでに何度も述べてきました。ここでは、その他の欠点について説明します。「副作用」「薬物相互作用」「結核診療への悪影響」という大きな3つのポイントがあります。
1.副作用
特にここ数年、フルオロキノロン系抗菌薬の副作用が問題視されています。米国食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)は、safety announcementを何度も発表しています(表7)。
発表時期 | 内容 |
---|---|
2016年7月 | 腱・筋・関節・末梢神経系・中枢神経系への不可逆的な副作用 |
2018年7月 | 重篤な低血糖、mental healthに関する副作用 |
2018年12月 | 大動脈解離と大動脈破裂のリスク |
2016年7月に行われた、すべてのフルオロキノロン系抗菌薬の添付文書の改訂では、「警告」に、腱(腱炎、腱断裂)、筋(筋肉痛、筋力低下)、関節(関節痛、関節腫脹)、末梢神経系(末梢神経障害)、中枢神経系(痙攣、めまい、振戦、抑うつ、幻覚など)への不可逆的な副作用が追記されました。同時に、「代替薬がある場合、フルオロキノロン系抗菌薬の使用を控えるべき疾患」が明記されました(表8)。どの副作用も、それほど頻度は高くありませんが、非常に重篤なものです。
腱炎・腱断裂は、高齢者や副腎皮質ステロイド使用者では特に注意が必要です[59-63]。血糖異常は、高齢の糖尿病患者で特にリスクが高いですが、糖尿病がなくても起こる可能性があります[64-66]。大動脈解離・大動脈瘤は、複数の大規模な観察研究でフルオロキノロン系抗菌薬の使用と関連があることが示されており、特に2週間を超える投与期間ではリスクが高い傾向にあります[60,67-70]。
そのほか、重症筋無力症の悪化やQT延長を起こす可能性もあります。特にモキシフロキサシンは、抗不整脈薬を必要とする心室性不整脈や心血管イベントによる死亡を増加させることが報告されています[71]。重篤な不整脈は頻度としてはまれですが、注意が必要です。骨髄炎で長期使用する場合などでは、心電図を定期的に確認したほうがよいと思います。
【Point】 フルオロキノロン系抗菌薬は、腱などの筋骨格系や中枢神経系の異常、血糖異常、大動脈解離・大動脈瘤に関連する |
・急性細菌性副鼻腔炎 ・慢性気管支炎の急性増悪 ・単純性尿路感染症 |
2.薬物相互作用
併用禁忌ではありませんが、QT延長をきたす薬剤との併用、経口血糖降下薬との併用によって、不整脈や低血糖が増加する危険性があります。また、Mg(マグネシウム)・Fe(鉄)・Zn(亜鉛)・Al(アルミニウム)・Ca(カルシウム)製剤と一緒に内服することによって、キレートを形成して腸管からの吸収が低下します[72,73]。どうしてもフルオロキロノン系抗菌薬が必要な場合は、これらの薬剤を代替薬に変更して対応します。例えば、マグミット®をセンノシド®やアミティーザ®に変更します。2~4時間の間隔を空けて内服すれば問題ない可能性もありますが、潜在的なリスクを避けるため、筆者は原則、フルオロキノロン系抗菌薬を使用する場合は、上記の複数価の陽イオンを含む薬剤を中止しています。また、NSAIDsとの併用で、痙攣誘発のリスクが上昇する可能性もあります。
【Point】 処方する前に、薬物相互作用の有無について必ず確認する |
3.結核診療への悪影響
レボフロキサシンをはじめとするほとんどのフルオロキノロン系抗菌薬は、結核菌に対して抗菌活性を持っています。この抗結核菌活性があることで、フルオロキノロン系抗菌薬によって市中肺炎として治療された肺結核患者の65%程度で、一時的に臨床症状が改善します[74]。また、その使用によって喀痰の抗酸菌染色が陰性化してしまうなどの理由で、肺結核の診断が遅れる可能性が指摘されています[74-77]。さらに、1週間程度のフルオロキノロン系抗菌薬の使用によって、フルオロキノロン耐性結核のリスクが上昇することも分かっています[74,78,79]。その使用によって、肺結核による死亡率が上昇する可能性を示した報告もあります[74,80]。以上から、市中肺炎を治療する際は、「肺結核のリスク」をきちんと評価してから抗菌薬を選択することが重要です(表9)。肺結核の可能性がある場合は、その検索を進めながら、フルオロキノロン系抗菌薬以外の抗菌薬で治療します。
【Point】 フルオロキノロン系抗菌薬の安易な使用は、結核の診断の遅れ、薬剤耐性、予後の悪化につながる可能性がある |
・肺結核の診断が遅れる ・フルオロキノロン耐性結核のリスクが上昇する ・肺結核の予後が悪化する |
フルオロキノロン系抗菌薬使用時の注意点
ここまでフルオロキノロン系抗菌薬の使い時や副作用について説明してきました。最後に、使用する際に注意したほうがよいと思われる2つのポイントについて説明します。
1.薬剤感受性判定基準の変更と菌種別の投与量
薬剤感受性試験結果を解釈する際、国内の多くの施設はCLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute) M100[11]に記載されている基準を使用していると思います。そのCLSI M100に記載されている腸内細菌科細菌と緑膿菌における判定基準が、2019年版から変更されました。院内のシステムにすでに反映させている病院はまだほとんどないと思われますが、感受性「S」と判断されるMIC(minimum inhibitory concentration:最小発育阻止濃度)の上限価が引き下げられました。「感受性あり」と判定するための条件が厳しくなったということです。この改訂により「感受性あり」と判定される確率は下がるため、さらにフルオロキノロン系抗菌薬の有用性が低下する可能性があります。
また、今回の改訂では、判定基準を使用する際の抗菌薬の標準投与量が追記されました。表10[11]にまとめましたが、高用量での使用が基本となっています。今回の改訂の経緯や根拠はVan TTらの文献[81]に記載されているので、興味のある方はご一読ください。
細菌 | 抗菌薬 | S | I | R | 標準的な投与量(腎機能正常者) |
---|---|---|---|---|---|
腸内細菌科 | CPFX | ≦0.25(1) | 0.5(2) | ≧1(4) | 400mg IV or 500mg PO q12h |
LVFX | ≦0.5(2) | 0.5(2) | ≧2(8) | 750mg IV or PO q24h | |
緑膿菌 | CFPX | ≦0.5(1) | 1(2) | ≧2(4) | 400mg IV q8h |
LVFX | ≦1(2) | 2(4) | ≧4(8) | 750mg IV or PO q24h |
※カッコ内の数値は以前の判定基準。
CPFX(ciprofloxacin): シプロフロキサシン、LVFX(levofloxacin): レボフロキサシン
(文献11より引用)
2.溶液の量
シプロフロキサシンの点滴製剤は、200mg、300mg、400mgの規格のものが販売されています。基本的な1回使用量は国際的に400mgが推奨されているため、400mg製剤を院内採用することをお勧めします。「400mg製剤」の添付文書上の最大投与量は、CLSIの推奨量と同じ「1回400mg 1日3回」ですが、300mg製剤では「1回300mg 1日2回」と記載されているものもあります。どの製剤も生理食塩水200mL程度に溶解されているので(製剤により溶液の量やNa濃度は多少異なる)、400mgを1日3回使用する場合、シプロフロキサシンの投与だけで1日で生理食塩水を600mL負荷することになります。
一方、レボフロキサシンの点滴製剤は、先発品・後発品複数の製品が販売されていますが、多くの製品ではレボフロキサシン500mgが生理食塩水100mLに溶解されています。先発品であるクラビットRの場合、「クラビットR点滴静注バッグ」であれば100mLの生理食塩水に溶解されていますが、「クラビットR点滴静注」(電解質を含まない20mLのアンプル製剤)の場合、80mLの溶液(5%ブドウ糖液でも可)で希釈して使用するため、シプロフロキサシンと比べてNa負荷を減らすことが可能です。ちなみに、添付文書上の投与量は「1回500mg 1日1回」なので、1回750mgを投与する場合は添付文書上の用法・用量を逸脱することになります。
販売されている製剤によってNa・水の含有量が違うこと、添付文書上の投与量と学術的に最適な投与量に乖離があることなどもしっかりと認識して、これらの薬剤を使用する必要があります。特に、心不全治療中や血液透析中などNa負荷が問題となりうる病態を持った患者の場合、フルオロキノロン系抗菌薬の点滴静注製剤は注意して使用したほうがよいと考えます。
フルオロキノロン系抗菌薬の要点
- グラム陰性桿菌用の抗菌薬であるが、大腸菌などの耐性化が進んでいる。
- 唯一の抗緑膿菌活性のある経口抗菌薬であり、大切に使用する必要がある。
- 覚えるべきフルオロキノロン系抗菌薬は、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシンの3つだけ。
- 第1選択となる臨床状況はほとんどない。
- 使用する場合は「副作用」「薬物相互作用」「抗結核作用」に注意する。
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